院長ブログ

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オミクロン株について

オミクロン株について

2022年03月08日

ウィルスは頻繁に変異を繰り返す。新型コロナウィルスも同様に変異を繰り返している。アルファ株に始まり、ベータ、ガンマ、デルタ・・・そして今オミクロン株が出現している。我が国では2021年11月末にナミビアからの帰国者でオミクロン株が検出されたのが最初である。オミクロン株の流行は南アフリカ、欧米が先行しており、すでにさまざまなデータが集められ、解析が進んでいる。その一端を簡単に紹介したい。

オミクロン株は基準となる最初の新型コロナウィルスと比べ、スパイク蛋白に30か所ほどのアミノ酸置換が認められている。その結果これまでのコロナウィルスといくつかの点で違いが出てきている。

潜伏期間は平均3日でデルタ株の4日より短い。感染伝搬性がデルタ株と比べて2~3倍高い。しかし、入院リスクは半分程度である。オミクロン株は肺組織で増殖しにくいのではないかと推測されている。

検査法ではオミクロン株でPCR検査の感度が低下することはないことが確認されている(おそらく抗原検査も同程度であろう)。

ワクチンの効果はデルタ株に対するよりも小さいため、ブレイクスルー感染*2がオミクロン株はデルタ株よりも多い。しかし、3回の接種(Booster接種*3)でオミクロン株にたいしても予防効果が大きくなる。

従って、現在の時点で最も重要なことはワクチン接種を広く進める事である。アメリカではワクチン接種対象を当初の18歳以上から段階的に引き下げ、今12歳以上に拡大した。我が国でも接種対象年齢を「5歳以上」に下げることが検討されている。また、2回目接種からBooster接種までの期間を短縮する動きがあり、アメリカでは「5か月以上」に変更している。その他、イギリス、韓国などでは3か月、ドイツ、南アフリカなどでは6か月としている。我が国でも8か月から6か月に短縮した。

行政の方々には、ワクチン接種の他に、これまで同様PCR検査の実施と陽性者の隔離を確実にしっかり継続していただけるようお願いする次第である。

最後に、我々医療従事者は勿論のことすべての人がマスク装着、手洗い励行、3蜜を避けることなど基本的感染対策を忘れずに実行することが大切であると強調しておきたい。

(村田宣夫 2022年1月14日)

*1  オミクロン:24文字からなるギリシャ文字で15番目に当たる文字がオミクロン(ο)。WHOが順番に命名している。

*2ブレイクスルー感染:ワクチン接種をしていても感染すること

*3Booster接種:ワクチンの効果を高め、持続させるための追加接種

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