主な検査項目の
解説と基準値

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主な検査項目の解説と基準値

身体測定

  • 生活習慣病を招く肥満の有無、程度の目安となる項目です。
  • BMI:「体重(㎏)÷{身長(m)}2」で測定し肥満度を判定します。
  • (体格指数)肥満は生活習慣病(脂質異常症、高血圧、糖尿病など)の発症率を上昇させます。
要注意(C) 基準範囲(A) 要注意(C)
体格指数
(BMI)
18.4以下
(低体重)
18.5〜24.9 25.0以上
(肥満)
(単位 kg/㎡)
  • 腹囲:(基準範囲)男性85cm未満 女性90cm未満

眼科検査

  • 視力:裸眼視力または、メガネやコンタクトをつけたままの矯正視力を検査します。
基準範囲(A) 要注意(C) 異常(D)
1.0以上 0.7〜0.9 0.6以下
  • 眼圧:眼球に空気を吹き付け、その反射から眼球内圧の変化を調べます。緑内障等を発見するための検査です。
  • 視力:眼底カメラで目の奥の網膜や血管を写真撮影します。動脈硬化の程度、高血圧、糖尿病による眼の合併症や緑内障・白内障の有無などを調べます。

聴力検査

  • 低音域(1000Hz)と高音域(4000Hz)での聴力を調べます。
  • 1000Hzの低い音では30dB(音の大きさ)、4000Hzの高い音では40dB以下の音が聞こえれば正常です。それ以上でないと聞こえない場合難聴や中耳炎などが疑われます。
基準範囲(A) 要注意(C) 異常(D)
1000Hz 30dB以下 35dB 40dB以上
4000Hz 40dB以下 45dB 50dB以上

尿検査

  • 尿蛋白:尿に含まれるアルブミンを尿蛋白といいます。健康な人は、尿中に尿蛋白はほとんど現れませんが、腎臓の異常や炎症で増加します。また運動、発熱時、ストレスなどで一時的に陽性になることがあります。
  • 尿糖:尿に含まれるブドウ糖を尿糖といいます。尿糖が陽性の場合、まず糖尿病を疑います。
  • 尿潜血:尿に含まれる肉眼ではわからない微量の血液を検出する検査です。腎疾患を始め尿路の炎症、結石、腫瘍で血尿が起きます。
  • ウロビリノーゲン:胆汁中のビリルビンが腸内に分泌され、分解されてウロビリノーゲンに変化します。肝疾患で上昇したりします。
  • 比重:腎臓の濃縮力を示します。水分摂取量が多いと尿は薄く比重は低くなり、脱水状態では比重は高くなります。
  • ph:酸性に傾いた尿ではシュウ酸カルシウムが析出して腎結石が出来やすくなります。また飢餓、激しい下痢、発熱などでも酸性に傾きます。
  • 沈査:尿を遠心分離機にかけて沈殿物を顕微鏡で検査し、腎臓や膀胱の障害を調べます。沈殿物には赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌、時にはがん細胞など様々なものが含まれることがあり、病気に関わる情報を得る事が出来ます。
検査項目 異常なし(A) 軽度異常(B、C) 要医療(D)
尿蛋白 陰性(−) (±)・(+) (2+以上)
尿糖 陰性(−) (±) (+以上)
尿潜血 陰性(−) (±)・(+) (2+以上)
ウロビリノーゲン (±) (+) (2+以上)
比重 1.015〜1.030 1.014以下
1.031以上
ph 5.0~7.0 4.9以下7.1以上

便検査

  • 便潜血検査:採取した便の中に血液が混じっているかどうかを調べる検査です。肉眼ではわからない微量の出血が確認でき、大腸がん、ポリープなどの早期発見ができます。
異常なし(A) 要医療(D)
2回とも(−) 1回でも(+)

血液検査:血液一般検査

  • 赤血球:酸素を体中の細胞に運び、不要になった二酸化炭素を肺へ戻す働きをしています。数値が高い場合は多血症、数値が低い場合は貧血が疑われます。
  • 血色素(ヘモグロビン):酸素の運搬役を果たします。貧血の発見の手がかりになります。
  • ヘマトクリット(Ht):血液全体に占める赤血球の割合をヘマトクリットと言います。数値が低ければ貧血が疑われ、高ければ多血症、脱水などが考えられます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
男性血色素数 13.1−16.3 16.4−18.0 12.1−13.0 12.0以下
18.1以上
女性血色素数 12.1−14.5 14.6−16.0 11.1−12.0 11.0以下
16.1以上
(単位 kg/㎡)
  • MCV:赤血球の体積を表します。数値が高い場合、ビタミンB12欠乏症貧血、葉酸欠乏症貧血、過剰飲酒が疑われます。数値が低い場合、鉄欠乏症貧血、慢性炎症にともなう貧血が疑われます。
  • MCH:赤血球に含まれる血色素量を表します。
  • MCHC:赤血球体積に対する血色素量の割合を示します。
  • 白血球:細菌などから体を守る働きをしています。数値が高い場合、感染症、炎症性疾患や白血病などが疑われます。数値が少ない場合、ウイルス感染症、薬物アレルギー、再生不良性貧血などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
3100−8400 8500−8999 9000−9999 3099以下、10000以上
(単位 10 /πL)
  • 血小板:出血を止める働きをしています。数値が高い場合、血小板血症、鉄欠乏性貧血などが疑われます。数値が少ない場合、特発性血小板減少性紫斑病、肝硬変、急性白血病などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
14.5−32.9 12.3−14.4、33.0−39.9 10.0−12.2 9.9以下40.0以上
(単位 10 /πL)

血液検査:脂質系検査

  • 総コレステロール(TC):血液中にはコレステロールという脂質が含まれています。ホルモンや細胞膜をつくるうえで大切なものですが、増えすぎると動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞につながります。数値が高い場合、動脈硬化、脂質代謝異常、甲状腺機能低下症、家族性脂質異常症などが疑われ、数値が低い場合、栄養吸収障害、甲状腺機能亢進症、肝硬変などが疑われます。
  • HDLコレステロール:善玉コレステロールと呼ばれるものです。血液中の余分なコレステロールを回収し、動脈硬化を防ぎます。したがって、数値が低い場合、動脈硬化の危険性が高くなります。喫煙、肥満、運動不足が原因で低くなることがあります。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
40以上 35−39 34以下
(単位 mg/dl)
  • LDLコレステロール:悪玉コレステロールと呼ばれるものです。多すぎると血管壁に蓄積して動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性を高めます。数値が高い場合、脂質異常症、甲状腺機能低下症が疑われます。数値が低い場合、肝硬変、甲状腺機能亢進症が疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
60−119 120−139 140−179 59以下、180以上
(単位 mg/dl)
  • 中性脂肪:トリグリセライド(TG)と呼ばれ、体内の中でもっとも多い脂肪で、脂質がエネルギー源として脂肪に変化したものです。数値が高い場合、動脈硬化を進行させます。数値が低い場合、低栄養などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
30−149 150−299 300−499 29以下500以上
(単位 mg/dl)
  • non HDLコレステロール:総コレステロール値からHDLコレステロール値を引いた値をnon(ノン)HDLコレステロールと言います。non-HDLコレステロールには、動脈硬化惹起性脂質が含まれており、特に女性や、メタボリックシンドローム等をかかえた方の脂質代謝のリスク評価に有用とされています。数値が高いほど動脈硬化が促進されやすい状態を表している指標といえます。日本では、HDLコレステロールに次ぐ、第二の指標といわれています。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
90−149 150−169 170−209 89以下210以上
(単位 mg/dl)

血液検査:肝機能・胆道系検査

  • 総蛋白(TP):血清中のたんぱく質の総量を表します。
  • 数値が高い場合、多発性骨髄腫、慢性肝炎、脱水症などが疑われます。数値が低い場合、栄養障害、ネフローゼ症候群、肝硬変、がんなどが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
6.5−7.9 8.0−8.3 6.2−6.4 6.1以下8.4以上
(単位 g/dl)
  • アルブミン:血液蛋白のうちでもっとも多く含まれるのがアルブミンです。アルブミンは肝臓で合成されるため、肝障害の程度を反映する値になります。肝機能障害、栄養不足、ネフローゼ症候群などで減少します。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
3.9以上 3.7−3.8 3.6以下
(単位 g/dl)
  • AST(AST):心臓、筋肉、肝臓に多く存在する酸素です。
  • ALT(GPT):肝臓に多く存在する酸素です。
  • ALTよりASTが高い場合、アルコール性肝炎、肝硬変、急性肝炎の初期が疑われます。ASTよりALTが高い場合、慢性肝炎、脂肪肝などが疑われます。ASTのみが高い場合は心筋梗塞、多発性筋炎、溶血性貧血などが考えられます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
AST(GOT) 30以下 31-35 36-50 51以上
ALT(GPT) 30以下 31-40 41-50 51以上
(単位 U /L)
  • γ―GTP:肝臓の解毒作用に関係する酸素です。数値が高い場合は、アルコール性肝障害、慢性肝炎、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害、急性膵炎などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
50以下 51-80 81-100 101以上
(単位 U /L)
  • 総ビリルビン(T−Bil):赤血球中に含まれるヘモグロビンの分解産物で、胆汁に排出される色素です。間接ビリルビンと直接ビリルビンがあり、あわせて総ビリルビンと呼びます。肝臓や胆のう・胆道に異常があると、ビリルビンが血液中に増え、黄疸が現れます。数値が高い場合、肝炎、閉塞性黄疸、胆石などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
0.2−1.2 1.21−1.99 2.0
(単位 mg/dl)
  • LDH:乳酸脱水酸素と呼ばれ、体内で糖がエネルギーに変わる時に働く酸素です。肝臓にもっとも多く含まれますが、筋肉や肺、血球などにも含まれるため、さまざまな疾患で値が上昇します。数値が高い場合、急性・慢性肝炎、白血病、心筋梗塞などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
115-230 114以下231-300 301以上
(単位 U/L)
  • ALP:アルカリフォスファターゼと呼ばれ、肝臓、胆道、骨、腸などに多く含まれる酸素です。これらの臓器に障害があると血液中にもれ出てくるため、値が上昇します。数値が高い場合、閉塞性黄疸、胆管炎、甲状腺機能亢進症、骨腫瘍、脂肪肝、薬物性肝障害などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
100−340 80−99、341−360 79以下361以上
(単位 U/L)
  • コリンエステラーゼ(ch−E):肝臓で作られる酸素のひとつで、肝機能が低下すると値が低下します。また、脂質代謝にも関わっているため、栄養過多で起こる脂肪肝や脂質異常症では値が上昇します。数値が高い場合、脂肪肝、糖尿病、ネフローゼ症候群などが疑われます。数値が低い場合、肝硬変、慢性肝炎、低栄養などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
185−431 432−630 149以下150−184
631以上
(単位 U/L)

血液検査:膵臓機能検査

  • 血清アミラーゼ:膵臓や唾液腺から分泌される糖類を分解する消化酵素です。おもに膵臓に異常があると値は上昇しますが、飲酒や肥満、唾液腺の炎症などでも値が変動します。数値が高い場合、急性・慢性膵炎、腎不全、唾液腺の疾患、膵臓がんなどが疑われます。数値が低い場合、進行した慢性膵炎などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
40-120 0-39、121-130 131-140 141以上
(単位 U/L)

血液検査:腎臓機能系検査

  • クレアチニン:アミノ酸の一種であるクレアチンが代謝されたあとの老廃物です。腎臓が正常に働いていれば、ほとんどは尿中に排出されますが、腎機能が低下すると血液中の値が増加します。筋肉量が多いほどその量も多くなるため、基準値に男女差があります。数値が高い場合、糸球体腎炎や腎臓の機能が低下していることを意味します。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
男性 1.00以下 1.01-1.09 1.10-1.29 1.30以上
女性 0.70以下 0.71-0.79 0.80-0.99 1.00以上
(単位 mg/dl)
  • 尿酸(UA):尿酸は、たんぱく質の一種であるプリン体という物質が代謝された後の残りかすのようなものです。通常では、尿中に排出されますが、数値が高い場合、高尿酸血症といいます。高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節に蓄積して、突然関節痛を起こします。これを痛風発作といいます。また、尿管結石も作られやすくなり、腎不全も起こします。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
2.1-7.0 7.1-7.9 2.0以下、8.0-8.9 9.0以上
(単位 mg/dl)
  • 尿素窒素(BUN):たんぱく質が分解されるときにできる老廃物の一種で、クレアチニンと同様、ほとんどが尿中に排泄されますが、腎機能が低下すると、血液中の値が増加します。数値が高い場合、腎機能障害、消化管出血、高たんぱく食摂取、脱水症などが疑われます。数値が低い場合、低栄養などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
8ー20
(単位 mg/dl)
  • eGFR:腎臓が老廃物を排泄する糸球体濾過量の能力を調べる検査です。クレアチニンの値と年齢、性別から推算します。慢性腎臓病(CKD)の診断、重症度判定に用いられます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
60以上 45.0-59.9 44.9以下
(単位 ml/min)

血液検査:糖代謝系検査

  • 空腹時血糖(FPG):健康な人では、血糖値が上がると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げる働きをします。しかし、インスリンが不足したり、作用が不十分だと血糖値が高いままの状態が続き、糖尿病になってしまいます。
  • 数値が高い場合、糖尿病、慢性膵炎が疑われます。数値が低い場合、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
70−99 100−109 50−69、110−125 49以下、126以上
(単位 mg/dl)
  • HbA1c:ヘモグロビンA1cと呼ばれ、赤血球中に含まれるヘモグロビンにブドウ糖がくっついたものをいいます。検査直前の飲食に左右されず、過去1-2ヶ月の平均的な血糖の状態を調べることができるため、糖尿病の診断だけでなく、血糖値のコントロールの状態をチェックするためにも役立ちます。
  • 数値が高い場合、糖尿病だけでなく腎不全なども疑われます。数値が低い場合、溶血性貧血などが疑われます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
4.6-5.5 4.5以下、5.6-5.9 6.0−6.4 6.5以上
  • 経口ブドウ糖負荷試験(GTT):ブドウ糖75gが含まれる液体を飲み、血糖値と尿糖の変化を一時間後・二時間後に調べる検査です。二時間後の血糖値は、糖尿病の診断基準の一つになります。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
2時間値 140以下 141-179 180-199 200以上
(単位 mg/dl)

血液検査:感染症系検査

  • 梅毒反応(TPHA RPR法):どちらも梅毒に感染しているかどうかを調べます。TPHAは、梅毒に一度かかると常に陽性を示します。結核や膠原病など梅毒以外でも陽性になることがあり、これを生物学的偽陽性といいます。陽性の場合、鑑別するために精密検査を必ず受けて下さい。
異常なし(A) 要医療(D)
陰性(−) 陽性(+)
  • HBs抗原:B型肝炎ウイルスに感染していないかを調べます。陽性の場合、現在B型肝炎ウイルスが体内にいることを意味しますが、必ず、肝炎に進行するとは限りません。しかし、一部の人には慢性肝炎や肝硬変が認められることがありますので、必ず、精密検査を受けて下さい。
異常なし(A) 要医療(D)
陰性(−) 陽性(+)
  • HCV抗体:C型肝炎ウイルスに感染していないかを調べます。陽性の場合、現在C型肝炎ウイルスが体内にいるか、過去にC型肝炎だった(体内にはC型肝炎ウィルスはいない)かを意味します。これらを鑑別する為に、さらに詳しい検査が必要です。
異常なし(A) 要医療(D)
陰性(−) 陽性(+)
  • CRP:細菌・ウイルスに感染したり、組織に障害がおきたり、免疫反応が起こった時に、血液中に増加する急性反応物質(タンパク質)の1つがCRPです。細菌やウイルスの有無や感染の経過を調べることができます。
異常なし(A) 軽度異常(B) 要経過観察(C) 要医療(D)
0.30以下 0.31-0.99 1.0以上
(単位 mg/dl)

胸部X線検査

  • 胸部にX線を照射して、肺炎、肺結核、肺がん、肺気腫、胸水、気胸などや心臓、大動脈の異常を調べる検査です。
  • しかし、気管支の中央部分にできる中心型肺がんは診断しにくい為、[喀痰細胞診]を併用するか、[CT検査]が勧められています。妊娠していたり、妊娠の可能性がある方は受けられません。

胸部CT検査

  • 体の周囲からX線を照射してコンピュータ解析を行い、体を輪切りにしたような断面画像を撮影する検査です。[胸部X線検査]の画像では、死角となる心臓周囲や骨の影で見えにくい部分も観察しやすく、肺がんだけでなく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、呼吸器の精密検査に用いられます。
  • X線を使用している為、妊娠していたり、妊娠の可能性がある方は受けられません。

肺機能検査

  • 肺活量:ゆっくりと呼吸して測定します。ゆっくりと最後まで吐ききったところ(最大呼気位)から、空気をゆっくり胸いっぱい吸い込んだところ(最大吸気位)まで吸える量をみます。最大吸気位から再び、ゆっくり最大呼気位まで吐ききります。性別、年齢、身長から求めた日本人の標準値に対して80%以上を基準値とします。肺活量の減る病気:間質性肺疾患、肺線維症など、肺が硬くなる場合、後側弯症など胸が変形する病気、呼気筋力が低下して肺の容積が小さくなる病気などがあります。
  • %肺活量:年齢、性別、身長から算出された予測肺活量に対して、あなたの肺活量が何%であるかを調べます。 80%以上が基準値です。
異常なし(A) 要医療(D)
80.0以上 79.9以下
(単位 kg/㎡)
  • 努力性肺活量:思いっきり息を吸った後に、一気に吐き出した息の量です。最大呼気位から最後まで吐ききるまでの量をみます。
  • 1秒量:最初の1秒間に吐くことができた空気の量です。この量が、性別、年齢、身長から求めた標準値に比べて少ない時は、気管支が狭くなっている可能性があります。1秒量が減る病気は、COPDや喘息などの病気が考えられます。
  • 1秒率:努力肺活量に対する1秒量の割合で、70%以上を正常とします。1秒率は喘息やCOPDなどの気道が狭くなる病気を簡便に見つける指標です。
異常なし(A) 要医療(D)
70.0以上 69.9以下
(単位 %)
  • %1秒量:最初の1秒間に吐き出した呼気量を年齢・性別・身長より算出された標準値との比較です。

血圧

  • 心臓から送り出される血液が血管壁に与える力が血圧です。心臓が収縮したときに加わる力を「収縮期血圧」、心臓が拡張したときに加わる力を「拡張期血圧」といいます。高血圧が続くと、血管が傷つき心臓に負担がかかってしまいます。
異常なし(A) 軽度異常(B、C) 要医療(D)
血圧 収縮期血圧 129以下 130~159 160以上
拡張期血圧 84以下 85~99 100以上
(単位 mmHg)

心電図検査

  • 両手首、両足首、胸に電極をつけ、心臓が収縮を繰り返すときに発生する電気刺激を波形として記録する検査です。
  • 同時に心拍数も測定します。不整脈の有無や、狭心症、心筋梗塞などの可能性を調べます。

心拍数(脈拍)

  • 1分間に45~85回が基準値とされていますが、男性より女性の方がやや多い傾向にあります。脈拍が1分間に44回以下(徐脈)や86回以上(頻脈)が何度も続くと脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因となります。

血管年齢(動脈硬化度)

  • 脈波電播速度(PWV):あおむけに寝た状態で、両腕・両足首の血圧と脈波を測定します。心臓から血液が拍出される時に血管に拍動が生じ、それが脈波となって手足に届くまでの速度を測定します。動脈硬化症などで血管壁が硬くなると、高値となります。また同時に、ABI値(ABI=下肢の血圧/上肢の血圧)を測定します。一般に腕の血圧に比べ、足の血圧が高い値を示します。基準より低値は血行障害を示します。

胃X線(バリウム)検査

  • バリウム(造影剤)を飲んで、食道・胃・十二指腸の形や粘膜の状態を調べる検査です。潰瘍やがんがあると粘膜面に凹凸が生じて、バリウムの「たまり」や「抜け」として現れます。胃がんや胃炎、胃潰瘍、ポリープなどがわかります。

骨密度検査

  • X線を使って骨量、すなわちカルシウムなどのミネラルを調べる検査です。骨粗しょう症の診断に用いられます。
  • ・若い人(20~40歳)と比較した値:
基準値 骨密度が最も多い20~40歳までの骨密度を100%とした時の比較です。
80%以上 心配ありません。
70~79% 骨密度がやや低下しています。
70%未満 精密検査を受ける必要があります。
  • ・同年代と比較した値:同年代の方の平均骨密を100%とした時のあなたの値です。

腹部超音波検査

  • 腹部から超音波をあてて、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓などの臓器の変化や腫瘍などがないかどうか調べる検査です。脂肪肝、胆石、ポリープやのう胞、がんなどの有無がわかります。

乳がん検診

  • 視触診:乳房のしこりの有無、乳頭分泌物の有無、皮膚の変化など乳房全体の変化とわきの下などのしこりの有無を 確認します。
  • 乳房超音波:乳房内のしこりや腫瘤などの小さな乳がんを中心に調べる検査です。病変を5段階のカテゴリーで分類します。
カテゴリー1 異常なし
カテゴリー2 所見があるが精査不要です。
カテゴリー3 良性ですが、しかし、悪性を否定できません。
カテゴリー4 悪性の疑いがあります。
カテゴリー5 悪性です。
日本乳腺甲状腺超音波医学会:乳房超音波診断ガイドラインより
  • マンモグラフィー(MMG):乳房専用のX線検査装置で乳房をプラスチックの板に挟んで撮影します。触診ではわからないような小さながんを発見することができます。マンモグラフィー(MMG)では、カテゴリーの1~5に分類されます。
カテゴリー1 異常なし 異常ありません。
カテゴリー2 所見があるが精査不要です。 石灰化した線維腺腫や、脂肪腫による影響等、
明らかに良性と判定できる所見です。
カテゴリー3 良性ですが、
しかし、悪性を否定できません。
良性の可能性が高いが、悪性も否定できない所見です。
超音波検査等の追加検査が必要です。
カテゴリー4 悪性の疑いがあります。 悪性の疑いがあります。他の詳しい検査が必要です。
カテゴリー5 悪性です。 ほぼ乳がんと考えられる病変があります。
更なる検査が必要です。
一般財団法人 日本予防医学協会ホームページより

子宮がん検診

  • 子宮頸がん検診(細胞診):直接細胞診用ブラシで子宮膣部、外子宮口から細胞をこすり取り、異常な細胞がないかどうか顕微鏡で観察する検査です。初期のがんでは自覚症状はないため、早期発見出来ます。
  • ●扁平上皮細胞
結果 略語 推定される病理診断
陰性 NILM 非腫瘍性所見、炎症
意義不明な
異型扁平上皮細胞
ASC-US 軽度扁平上皮内病変の疑い
HSILを除外できない
異型扁平上皮細胞
ASC-H 高度扁平上皮内病変の疑い
軽度扁平上皮内病変 LSIL HPV感染、軽度異形成
高度扁平上皮内病変 HSIL 中等度異形成、高度異形成、上皮内癌
扁平上皮癌 SCC 扁平上皮癌
  • ●腺細胞
結果 略語 推定される病理診断
異型腺細胞 AGC 線異型または腺癌疑い
上皮内腺癌 AIS 上皮内腺癌
腺癌 Adenocarcinoma 腺癌
その他の悪性腫瘍 other malig. その他の悪性腫瘍
日本婦人科腫瘍学会ホームページ
  • 経膣超音波:膣から超音波のプローブを入れ、子宮の中を観察します。この検査で、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮頚管ポリープ・卵巣腫瘍など発見出来ます。
  • HPV検査:子宮頸がん検診で採取した細胞からHPVに感染しているかどうか確認する検査です。HPVは子宮頸がんの原因ウイルスで、性交渉を行ったことのある80%の女性が一生に一度は感染する可能性がありますが、ほとんどの場合、自然消失します。HPVが消えずに長期化(持続感染)した場合、がんの前段階を経て子宮頸がんになることがあります。

3D大腸CT検査

  • 主に大腸がんを発見する目的の検査ですが、大腸以外の腹部臓器(肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓・その他)も同時に検査ができます。肛門から大腸に空気を入れて膨らませて行うCT検査です。その為、撮影中はお腹が張る腹満感があります。前日より検査食を召し上がっていただき、下剤を内服して腸内をきれいにしてから行います。一般的には、内視鏡検査と比べて体への負担が少ない検査です。

頭部MRI・MRA検査

  • 頭部MRI検査:脳梗塞、脳出血だけでなく、まだ症状の出ていない無症候性脳梗塞、脳腫瘍などの異常を発見します。
  • 頭部MRA検査:クモ膜下出血の原因となる脳動脈瘤や脳血管奇形、脳梗塞の原因となる脳血管狭窄などの異常を発見します。

頸動脈超音波検査

  • 動脈硬化の程度を判定するため、頸部の動脈に超音波をあてて動脈壁の内膜と中膜を合わせた厚さ(内中膜壁厚:IMT)を測定します。動脈硬化が進むとIMTが厚くなったり、不要物が一部の血管壁に溜ってできる隆起物(プラーク)を認める事もあります。IMTの基準範囲は1.0mm以下です。

甲状腺超音波検査

  • 甲状腺に超音波をあてて、甲状腺の大きさや炎症性の変化、のう胞や腫瘍などがないかどうかを調べる検査です。

喀痰細胞診検査

  • のどの奥に溜まった痰を採取して、中の細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無を調べる検査です。喫煙者には肺門部(肺の入口近く)にがんができやすい傾向があり、肺門部の中心型肺がんのスクリーニングに有用です。

腫瘍マーカー検査

  • 体の中に、がんが発生すると健康なときにはみられない特殊なタンパク質やホルモンなどが血中や尿に増えることがあります。
    これらを測定し、がんの発見や再発の確認などに利用します。
  • AFP:α―フェトプロティンという検査です。肝臓がんで高い数値を示しますが、良性腫瘍や炎症でも上がることがあります。
  • CA19-9:主に膵臓がん、胆道がんで著明に上昇します。その他大腸がんなどの消化器がんでも上昇します。
  • CA125:主に卵巣がんで著明に上昇します。その他子宮内膜がんや子宮頸がん、膵臓がんなどでも上昇します。月経周期で変動し、良性腫瘍や炎症でも上昇します。
  • CA15-3:乳がん、卵巣がん、子宮がんで高い数値を示します。
  • シフラ:肺がん(扁平上皮がん)で上昇します。
  • PSA:男性のみの検査です。前立腺がんや前立腺疾患で高い数値を示します。
  • CEA:肺がん、大腸がん、胃がん、膵臓がんなどで上昇します。良性の疾患でも高値を示す場合があり、必ずしもがんの存在を意味するわけではありません。喫煙者でも高値を示すことがあります。
  • SCC:頭頸部、食道、肺、子宮頚部、などの扁平上皮がんで上昇します。
  • SLX:肺がん、膵臓がん、慢性肝炎などで上昇します。
  • ProGRP:肺がんなどで上昇します。
基準値 基準値
AFP 10 ng/ml以下 PSA 4.0 ng/ml以下
CA19-9 37 U/ml以下 CEA 5.0 ng/ml以下
CA125 35 U/ml以下 SCC 1.5 ng/ml以下
CA15-3 31.3 U/ml以下 SLX 38 U/ml以下
シフラ 3.5 ng/ml以下 ProGRP 80.9 pg/ml以下

血液検査:胃がんハイリスク検査

  • ペプシノーゲン:血液中の「ペプシノーゲン」の量を測ることによって、萎縮性胃炎の程度を調べる検査です。ペプシノーゲンとは、たんぱく質の消化酵素のもとになる物質で、血液中の量が減少すると胃粘膜の萎縮も強くなり、萎縮が強いほど胃がんになりやすいといわれています。数値が高い場合は、胃がん、萎縮性胃炎、胃・十二指腸の潰瘍が疑われます。
異常なし(A) 要医療(D)
陰性(−) 陽性(+)
  • ヘリコバクター・ピロリ菌検査:胃粘膜の萎縮や胃がんの発症に関係しているといわれるピロリ菌の有無を調べます。血液や便、尿、呼気などで調べるほか、内視鏡で一部胃の粘膜を採取して調べる方法もあります。
異常なし(A) 要経過観察(C) 要医療(D)
0-2.9 3.0-9.9 10.0以上

NT-proBNP

  • 心筋梗塞や心不全の診断または病状把握のために行なう検査です
異常なし(A) 要医療(D)
125以下 126以上
(単位 pg/ml)

アミノインデックス(AICS)

  • アミン酸を測定して、がんのリスク(可能性)を予測する検査です。がんリスクスクリーニング検査といわれています。がんを見つける(確定診断)検査ではなく、現在がんである可能性を評価する(リスクスクリーニング)検査です。がんの種類や組織型に左右されず、一度に複数のがんリスクを検査できます。採血による簡便な方法で早期のがんにも対応した検査です。AICS検査は、それぞれのがんについて、がんである可能性のリスクの確率を0.0~10.0の数値(AICS値)で報告します。数値が高いほど、がんである確率が高くなります。また、このAICS値からリスクを判断する目安として、「ランクA」「ランクB」「ランクC」段階で示されます。
ランク分類 ランクA ランクB ランクC
AICS値 0.0~4.9 5.0~7.9 8.0~10.0

低い

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がんであるリスク

→

高い

検査項目 対象がん
男性AICS(5種) 胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がん
女性AICS(6種) 胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、乳がん、子宮・卵巣がん
対象年齢 対象がん
25歳~90歳 胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、乳がん
40歳~90歳 前立腺がん
20歳~80歳 子宮・卵巣がん
  • 《 利用時間 》

    平日:8:30 ~ 17:30

    ※日曜日、祝祭日、
    年末年始(12/29~1/3)はお休みとなります。

  • 《 お問い合わせ 》

    佐野市民病院 予防医療センター

    FAX:0283-61-1077

    〒327-0317 栃木県佐野市田沼町1832番地1

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