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骨折について | 社会医療法人財団佐野メディカルセンター佐野市民病院

骨折について

2022年04月19日

2年ほど前から整形外科手術の手伝いを始めました。整形外科医師と共に術前術後の患者さんを診ることになり、整形外科領域の病気について興味深いことをたくさん学びました。今回は整形外科領域で最も多い病気である骨折についてお話します。

骨折しやすい部位があります。上腕骨(頸部)、橈骨遠位端、脊椎、大腿骨近位部の4つです。上腕骨頸部骨折は転倒して手をついたり、直接打撲したりして生じます。橈骨遠位端骨折は転倒して手をついて、2本ある前腕の骨の親指に近い骨が骨折するものです。脊椎の骨折は脊椎椎体骨折あるいは脊椎圧迫骨折といいます。多くは後方へ転倒し、尻もちをついたときに生じます。大腿骨近位部骨折には大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折があります。

以上、4大骨折部位はいずれも転倒して生じるものです。高齢者が転倒してこれら4大部位の骨折(特に後2者)を起こしています。

佐野市民病院に入院しておられる骨折患者さんのほとんどが80歳以上の方々です。家の中や庭先でつまずいたり、滑ったり、よろめいたりして転倒して骨折されています。若い人なら転んで骨折することはまずありません。サッカーの試合を見ていると選手は何回も激しく転びます。

しかし、骨折する選手はまれです。転び方が上手なこともありますが、骨が強いのです。高齢者で骨折するのは骨が弱っているからです。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という言葉を聞いたことがあると思いますが、骨粗鬆症の人では、すってんころりと転ぶのではなく、ふらふらと倒れても骨折をきたします。軽い外力で骨折してしまうのです。骨粗鬆症とは骨の強度が低下する病気です。年齢とともに骨の強度は低下していきます。歳をとるのは仕方ありませんが、骨粗鬆症に陥ることを防ぐことはできます。

骨粗鬆症になるのを防ぐにはまず適切な食事を摂ることです。骨粗鬆症を防ぐ栄養素はカルシウム、ビタミンD、蛋白質です。カルシウムは乳製品、魚介類、緑黄色野菜などに、ビタミンDはキノコ類、魚介類、卵など、蛋白質は肉類、魚介類、卵、大豆などに多く含まれています。骨粗鬆症を防ぐもう一つ大事な事は適度な運動をすることです。ウォーキングがいいと言われています。骨に負荷(体重)をかけることにより骨は強くなります。日光に当たると紫外線によってビタミンDが皮膚で作られ、カルシウムの吸収を助けます。1日30分ほど日光を浴びるだけで効果があるとされています。

食生活を適切なものにしてウォーキングをすることにより骨粗鬆症を防げるのです。これらを心がけて明日から実行していただくと良いと思います。

(村田宣夫 2022/4/19)

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