院長ブログ

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骨折について その2

骨折について その2

2022年06月20日

骨折を防ぐには骨を強くすることです、と前回お話ししました。実はもう一つ大事な事があります。それは転ばないことです。転倒しないことです。転倒しなくても骨折することが稀にありますが、ほとんどの場合、転倒して骨折します。

どうして転倒するのでしょうか?転倒の要因として二つ分けて考えられています。すなわち、内的(身体)要因と外的(環境)要因です。

転倒の内的要因は、根本には加齢と深い関わりがあります。すなわち、加齢による筋力低下、加齢によるバランス力低下、加齢による関節の柔軟性の低下などです。

歳を取ってくると運動量が減ります。また、タンパク質(肉類)の摂取量が減ってきて、十分な栄養がとれなくなります。その結果、筋肉の合成能力が低下してしまいます。筋力が落ちます。転倒予防には筋力強化が必要です。

高齢になるとバランス力が低下します。高齢になると目の調節機能が低下します。姿勢を保たせる半規管が衰えてよろけやすくなります。足裏の体重のかかり具合を感知し中枢に伝える体性感覚も衰えます。これらバランス機能の虚弱化に筋力低下が加わりバランスが崩れやすくなり、転倒につながります。

外的要因を考えてみます。東京消防庁の報告によると転倒で救急搬送される人の転倒する場所は半数以上が住宅等居住場所とされています。住宅内で階段、玄関での段差につまずいたり、また居間の敷居やカーペットなどに足指が突っかかったりして転倒します。その他、風呂場、台所、散らかった部屋も転倒の原因となります。転倒予防医学協会の武藤芳照先生は「ぬかづけ」に注意するよう指導しておられます。「ぬかづけ」とは、「ぬ」は濡れているところ、「か」は階段・段差、「づけ」は片づけていないところなどです。家の中ですべらない、つまずかないようにすることが転倒予防につながります。

歳をとることは避けられませんが、筋力低下を抑えることは可能です。それは運動することです。英語の慣用句に ”Use it, or lose it.”(使わないとダメになる)というものがあります。筋肉を使わないと、筋力は低下します。骨を強く保つためには運動が必要ですと書きました。筋力保持にも運動することが大事なのです。毎日一定量以上の運動をしましょう。

また、環境面では住宅内に濡れた場所を作らない、部屋の中を整理整頓する、といったことも実行してください。転倒を減らして、骨折予防につながります。

令和4(2022)年6月20日

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