院長ブログ

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新型コロナウィルス感染症への対抗処置

新型コロナウィルス感染症への対抗処置

2023年01月16日

かつて天然痘というウィルス感染症があり、人々から恐れられていました。中世時代、天然痘はありふれた病気で死亡率は25%以上もあり、しかも仮に生き延びても顔にあばたを残したり、失明したりするので大変怖い病気とされていました。18世紀の終わりにイギリスのエドワード・ジェンナーという医師が牧場で牛の牛痘に罹った人々は天然痘にかからないことに気づきました。彼は、実験してみることにしました。こどもの皮膚を傷つけ、そこに牛痘の吹き出物から採取した膿をすりつけました。牛痘は牛の病気なので人では感染が成立しません。数週間後その子供に天然痘患者から採取した膿を接種しました。しかし、予想通り、その子供に天然痘は発症しませんでした。「予防接種」の発見です。牛痘接種は天然痘予防接種として世界中に広がり、それまで猛威を振るっていた天然痘による死亡は著しく減少していきました。全世界の人々の協力で、1979年WHOは天然痘完全撲滅を発表しました。

今、新型コロナウィルス感染症の収束にもワクチン接種が大きな役割をはたしています。我が国では2021年からワクチン接種が開始されています。ワクチン接種してもその持続期間はワクチンの種類によって異なっています。そこで私は2021年の4月にファイザー社のワクチン接種が始まったので自身の血中抗体の測定をすることとしました。 第1回の21日後に第2回ワクチン接種しました。第2回目ワクチン接種3か月後に抗体価はゼロから135U/dlと上昇していました。6か月後に104U/dl、9か月後に72.1U/dlと低下していきました。丁度その時(9か月後)第3回のワクチン接種の順番が回ってきました。第3回接種から3か月後に抗体価は5320U/mlと大変高値になっていました。その3か月後に2140U/dlと減少していきました。同時に第4回目のワクチン接種を受けました。3か月後、9230U/dlと極めて高く上昇し、6か月後に3340U/dlと減少しています。これは2022年の12月1日で、同時期に第5回目のワクチン接種を受けました。2023年1月上旬の現在、抗体価は相当高く上昇していると考えられます。そして今後、徐々に低下していきます。私の抗体価の推移をみると、ピークを作った後に徐々に低下していくこと、また、一定期間を置いて何回も接種すると次第に抗体価の上昇程度が大きくなることがわかります。

新型コロナウィルス感染症に対するワクチンは接種後2週間程度たってから効果がでてくるという報告があります。その後、私のデータでも明らかなように数か月経つと抗体価が低値になります。しかし、ワクチン接種を繰り返すことにより抗体価が前回よりも顕著に上昇します。我が国で推奨されているワクチンの一定間隔毎に接種を繰り返すことは意味のあることです。

ワクチン接種にはある程度の副反応がありますが、ワクチン接種には感染を防ぐ、あるいは重症化を抑える、死亡者を減らすという効果があります。コロナウィルス感染症で重症化しやすいとされている高齢者、重篤な基礎疾患のある人々はワクチン接種を受けるのが大切だと思います。

新型コロナウィルス感染症はこれからもなくなることはないようです。差し当たり、感染が広がっている時にはワクチン接種以外に3密を避ける、マスクをするといった標準的とされている予防法を各自が実行するようにしたいものです。                     2023/1/13 

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